老いの魂学

秋風が肌寒く感じられる今日この頃です。お健やかにお過ごしでしょうか。
さて、最近出会った本の紹介をさせていただきます。山中康裕氏の「老いの魂学」という本です。

「痴呆老人臨床において目指すべきは、延命や痴呆からの脱却ではなく、彼らの人間としての
尊厳を大切にすることだと考えつづけてきた。つまり、言葉を残している人ならば、
それが妄想だろうが作話だろうが、彼らの話にじっと耳傾けることであり、
言葉を失った人の場合は、じっと傍らに座って、彼らと視線を取り交わし、
歌を歌ったり、手拍子をうったり、からだをさすったりといった、その人ごとに違う、
その人の存在を確かめうる手段の助けを借りつつ、やはり、彼らの魂に働きかける、
心のケアを中心とするべきだ、ということである」、、、

認知症ケアの現場で働く者に対して、優しいまなざしで諭すような言葉がちりばめられています。
「そうなんです。そうですよね」と筆者の言葉にうなずく自分がいます。
読み進むうちに頑張らなければと緊張している肩の力が抜け、心がすうっと軽くなります。

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また、山中先生は「ほとんど言葉がまったく消えてしまっている人たちでも、歌とか何とかになると、
急にまた戻ってくるのです」と音楽の力についても触れておられます。
明日25日から26日まで、第18回新潟県老人福祉施設研究大会に参加します。
今回は「ジェロントピア新潟における音楽療法の試み−老いて人は輝く−」という演題で
発表をさせていただきます。新潟県内のいろいろな施設の方々と認知症ケアについて
意見交換をするのが本当に楽しみです。